整骨院・接骨院の開業まとめ | 手続き・事業計画所・集客・採用の全ノウハウまとめ

最終更新日:2024年8月2日

山本 亮介(やまもと りょうすけ)

執筆者

クリニックマーケティング 代表

山本 亮介(やまもと りょうすけ)

横浜国立大学卒業後、靴磨きとファイナンシャルプランナーとしての事業を経て、プルデンシャル生命保険で2年間営業を経験。広告代理店を経たのち、大手メディア事業会社の2つの事業のメディア責任者として事業を見ながらインハウス広告運用担当として従事。デジタルマーケティング、メディアプランニング、SEO、広告運用の専門知識を使い、事業成長をサポートいたします。

整骨院・接骨院の開業までに必要な準備

整骨院・接骨院の開業には、事前にしっかりとした準備が求められます。まず、法的要件や必要な資格をクリアすることが不可欠です。また、経営面でも成功するためには、経営やマーケティングの知識が重要です。開業に向けた準備を怠ると、開業後の経営に大きな支障をきたす可能性があります。したがって、開業を成功させるために必要な準備は、しっかりと計画的に行うべきです。

3年の実務経験と施術管理者研修の受講

整骨院・接骨院を開業するためには、3年間の実務経験が必要です。この経験は、施術の技術だけでなく、患者とのコミュニケーションスキルや、診療報酬の請求方法など、実際の運営に必要な知識を身につけるために不可欠です。また、施術管理者研修を受講することで、経営者としての責任を理解し、法的な義務を果たす準備が整います。この準備段階をしっかりと行うことで、開業後のトラブルを未然に防ぐことができます。

経営やマーケティングの勉強

開業後に安定した経営を続けるためには、整骨院の運営だけでなく、経営やマーケティングに関する知識が欠かせません。特に、競合が多い都市部では、差別化されたサービスや効果的な集客方法が求められます。経営の基本を学び、マーケティング戦略を立てることで、集客力を高め、リピーターを確保することが可能になります。この段階での勉強が、長期的な成功に直結します。

整骨院・接骨院を開業するまでの流れ

整骨院・接骨院を開業するためには、明確な手順を踏んで準備を進めることが重要です。事業計画の策定から、開業地の選定、さらにはコンセプトの設計まで、細かなステップを一つずつ確実にクリアしていくことで、開業後の成功を確実にすることができます。以下では、具体的な開業までの流れを説明します。

1.事業計画書と資金計画書(CF・PL)を作成する

事業計画書 売上目標から重要業績評価指標の設定
資金計画書 キャッシュフロー表(CF)
損益計算書(PL)

開業前に最低限「事業計画書・キャッシュフロー表・損益計算書」の3つを作成してください。

事業計画書

「事業計画書」を作成することで「具体的な行動が明確になる」ことと「振り返り力」が身につきます。特に振り返り力は、今後、整骨院・接骨院を経営する上で最も重要な要素になります。

例えば集客に関して「2万枚のポスティングで40人集客する」と仮説をたてて実行し、結果20人しか集客できなかった場合、「2万枚で20人集客できた」というデータが残ります。

リピート率を加味して顧客単価を15,000円とした場合、「146,336円の投資で300,000円の成果を得た」ということがわかります。

[info]

【成果】

300,000円(15,000円×20人)

【支出】

146,336円

– チラシデザイン費用:11,000円(税込)

– 印刷費用:39,536円(税込)

– 折込チラシ:95,800円(税込)

※ 実際に

このように「仮説を立てて実行した結果の振り返りができる」ことによって集客コストが明確になります。その結果、「どの集客方法が最もコスパが良いか」がわかり、『顧客獲得単価(CPO)』が明確になります。

資金計画書(CF・PL)

資金繰りの面で大いに役立ちます。特に保険請求を中心に扱う整骨院にとっては入金まで時間がかかることを考慮する際に資金繰りは重要になります。

また上場企業はIR情報をだしているため、PLを作成する際に1つの参考指標として役立ちます。

[info]

IR情報とは?

企業が株主や投資家に対し、財務状況など投資の判断に必要な情報を提供していく活動全般を指します。

2.開業場所の調査を行う

整骨院・接骨院のビジネスは9割が立地によって決まるといっても過言ではないほど立地によって結果が大きく左右されます。特に調査すべきは2点です。

  1. 店舗が生活動線にあるか
  2. 競合が半径5km圏内にいないか

大繁盛していたお店が駅の反対側に移動しただけでお客様が来なくなったケースがあるほど、人は習慣的な活動圏内にあるかどうかがとても重要になります。立地調査として毎日の通勤・通学の最も多い動線はどの道かを把握することは重要です。

また競合が強い場合は絶対に出店を控えた方が良いです。競合が強い場合は資金力で太刀打ちできないので、よほど技術に自信がない場合以外はやめた方が賢明です。

追加で地方であれば駐車場は必須です。駐車場が近隣で借りられるかは必ず確認しましょう。

3.コンセプトを設計する

コンセプトの設計は、他院との差別化を図るための重要なステップです。どのような治療法をメインに提供するのか、また、どのような患者層をターゲットにするのかを明確にすることで、整骨院の特徴を打ち出すことができます。

明確なコンセプトは、集客力を高めるだけでなく、リピーターの確保にもつながります。成功するためには、自院の強みを活かしたコンセプト設計が不可欠です。

4.レイアウト設計、内装工事、備品、機器選定

整骨院のレイアウトや内装は、患者がリラックスできる空間を提供するために非常に重要です。施術室の配置や待合室のデザインなど、細部にまでこだわることで、患者の満足度を高めることができます。

また、備品や治療機器の選定も、施術の質を左右する重要な要素です。快適で機能的な環境を整えることで、患者に選ばれる整骨院を作り上げることができます。

5.開業申請の手続きをする

「施術場所の申請」と「施術者の申請」の2種類があります。

施術場所の申請 出店地域管轄の保健所から『施術所開設届出済証』を受け取る
施術者の申請 各都道府県で実施されている『施術管理者研修』を受講して『施術管理者』の登録を行う

施術場所の申請

[引用]

【構造設備基準】

  • 6.6平方メートル以上の専用の施術室を有すること(約4畳の専用の施術室)
  • 3.3平方メートル以上の待合室を有すること(約2畳の待合室)
  • 施術室は、室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放し得ること(ただし、これに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りではない)

施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること

<根拠法令>

  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第9条の5第1項、同法施行規則第25条
  • 柔道整復師法第20条第1項、同法施行規則第18条

【衛生上の必要な措置】

  • 常に清潔に保つこと
  • 採光、照明及び換気を充分にすること

<根拠法令>

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第9条の5第2項、同法施行規則第26条

柔道整復師法第20条第2項、同法施行規則第19条

施術者の申請

『施術管理者』の申請が必要なのですが、年々条件が厳しくなっており、2024年4月より「3年間の実務経験」が必須条件として追加されました。

届出提出時期 必要実務経験
2018年4月〜2022年3月 1年
2022年4月〜2024年3月 2年
2024年4月〜 3年

6.施設の広告宣伝や人材採用を行う

具体的な取り組みについてそれぞれ解説していきます。

開業前に取り組むべき広告宣伝

  1. Google ビジネス プロフィールの申請
  2. LINE公式アカウントの開設
  3. ホームページの開設

Google ビジネス プロフィールは『MEO対策』と呼ばれ、整骨院・接骨院のウェブ集客において最も効果的な広告宣伝の1つです。登録作業に1ヶ月程度かかるため、店舗の契約が完了したらすぐに申請だけ行いましょう。1ヶ月程度で店舗に本登録の手紙が届きますので、手順にしたがって本登録を完了しましょう。

またLINE公式アカウントは今後のお客様リストの獲得の受け皿として活用できるため、すぐに導入しましょう。アカウント開設だけであれば1時間程度で可能です。

ホームページはSEO対策と呼ばれ、長期的なウェブ集客の手段として有用です。ただホームページを公開してから成果が出るまで最低でも6ヶ月ほどかかるため、出店を決めたらすぐに開設するのもオススメです。

開業前に取り組むべき人材採用

急ぎで人材募集をする場合は業者に依頼することをオススメしますが、急ぎでないかつ今後人材を採用する予定がある方は無料の人材紹介サービスに登録だけしておきましょう。

[info]

  • indeed
  • ハローワーク
  • ジモティ

開業前には、施設の広告宣伝や人材採用を適切に行うことが成功のカギとなります。広告宣伝では、地域住民に対して整骨院の存在を知らせるだけでなく、開業キャンペーンなどを通じて集客を図ることができます。また、人材採用においては、信頼できるスタッフを確保することで、患者対応の質を高めることが可能です。これにより、開業直後から安定した運営を実現できます。

整骨院・接骨院を開業する際に受けられる支援

整骨院・接骨院を開業する際に活用できる主な制度は4つあります。

  1. 商工会議所の『創業支援融資』
  2. 経済産業省管轄の『補助金』
  3. 厚生労働省管轄の『助成金』
  4. 市区町村管轄の『支援金』

商工会議所の『創業支援融資』

整骨院・接骨院は資金繰りで悩まされることが多いため、商工会議所から創業支援融資を借りることをオススメします。創業支援融資の金利は「1.11~2.58%」程度なので100万円借りても利息は2万円前後で済むためとてもお得な融資制度です。

「お金に心配ない」という方でも、一度借りて返済を完了すると商工会議所からの信用が高まり、本当に必要になった時に多くの融資を受けられるため、資金繰りに余裕があるうちにお金を借りることをオススメします。

経済産業省管轄の『補助金』

補助金は主に販路開拓や業務効率改善に活用できる制度です。経費の幅が広く最も活用しやすい補助金の1つである「小規模事業者持続化補助金」でも50万円ほどの支援を受けることができるため、事業計画と照らし合わせ活用することをオススメします。

補助金を活用する際の注意点は3つあります。

  1. 補助金の対象となる経費は採択後(申請から3ヶ月後の経費が対象)
  2. 補助金の入金まで申請から約1年かかる
  3. 期間内の申請漏れ等が発生した場合、不支給の対象となる

厚生労働省管轄の『助成金』

雇用を検討している整骨院・接骨院経営者様にオススメなのが厚生労働省管轄の『助成金』になります。

人気どころでは『キャリアアップ助成金』『業務改善助成金』などが挙げられます。

社会保険労務士という士業が助成金申請代行を生業としているため、身近にいれば相談してみることをオススメします。

市区町村管轄の『支援金』

地域によって大きく異なるのですが、まずは市区町村に直接問い合わせて確認することをオススメします。

一例として下記の市区町村の取り組みをご紹介させていただきます。

東京都八王子市 経営力強化補助金(販路拡大事業)
静岡県富士市 中小企業経営革新事業補助金

開業後の継続的な取り組み

開業後の成功を維持するためには、継続的な取り組みが不可欠です。特に、集客や採用、スタッフの育成に関する戦略をしっかりと持つことが重要です。これらの取り組みを怠ると、開業直後の勢いを維持できず、経営が停滞するリスクがあります。以下では、これらのポイントについて具体的に解説します。

集客

整骨院の経営において、集客は常に重要な課題です。新規患者の獲得だけでなく、既存患者のリピート率を高めることも考慮しなければなりません。定期的な広告やプロモーション活動を行い、地域での認知度を高めるとともに、口コミや紹介制度を活用することで、安定した集客を実現します。また、患者の満足度を向上させるために、サービスの質を常に見直し、改善することも重要です。これにより、長期的な信頼関係を築くことができます。

採用

整骨院の成功は、優秀なスタッフの採用にかかっています。適切な採用プロセスを通じて、整骨院の理念や方針に合った人材を見つけることが重要です。採用時には、技術力だけでなく、コミュニケーション能力や患者対応のスキルも重視する必要があります。また、スタッフのモチベーションを維持し、長期的に働いてもらうための働きやすい環境を整えることも大切です。適切な人材が揃うことで、整骨院のサービス品質が向上し、患者満足度も向上します。

育成(マニュアル作成)

スタッフの育成は、整骨院の運営において非常に重要な要素です。特に、新しいスタッフが迅速に業務に慣れるためには、詳細な業務マニュアルの作成が不可欠です。マニュアルには、施術手順や患者対応の方法、診療報酬の請求方法など、業務に必要なすべての情報を網羅する必要があります。これにより、スタッフが一貫したサービスを提供できるようになり、院内の運営がスムーズに進むことが期待されます。また、定期的な研修やフィードバックを通じて、スタッフのスキルを継続的に向上させることも忘れてはなりません。

【まとめ】整骨院・接骨院経営は正しい戦略と実行が重要

多くの整骨院・接骨院が技術のみで競争しているため、『事業計画所』から『集客・採用』の戦略を正しく策定し、『補助金・助成金』を活用すれば、十分に競争を勝ち抜くことができます。

「全て自分でやる」というのは知識的にも時間的にも難しいと思うので、ご自身の得意なことを踏まえて任せることと自分でやることを分けて戦略を練りましょう。

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